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今日祖母と一緒に、祖母のすぐ下の妹のお墓参りに行って来た。 秦野に住んでいる故人の息子さんの車で。
これまでにもお墓参りに誘われたことはあるのだが、祖母のすぐ下の妹は、4番目の子どもを産むとき、私の生まれるずっと前に亡くなったので、もちろん会ったことはない。
彼女が亡くなったとき私の父は小学生だった。 祖父母の故郷である鳥取で、若き日の祖母とともに写っている妹の写真を見たことがある。親兄弟の中で一人だけ黒目がちの大きく切れ長の瞳、高い鼻梁と、田舎にはちょっと珍しいような美貌だった。
祖母や故人の息子さんはお墓の周りに茂ったスギナをすっかり抜き、私一人があちこちから湧く蜘蛛や泥を気にしていた。
帰りに焼き肉店に寄り、食事のあとデイケアのショートステイに出ている祖父の話になった。元々痩せた体がさらに弱々しくなった祖父だが昔から厳しくて、小学生のときから一緒に住むことになった私にとっては恐怖の対象でしかなかった。
しかしたいていの勤勉な夫がそうであるように、彼は外では非常に社交的で、友人も多く、信頼されていたようだ。
祖母は祖父のために苦労したなどとは言うことは決してないし、せいぜい若くて貧しい頃祖父が給料を趣味のレコードにつぎ込んでいたと言うくらいだ。
今日聞いたのは、祖母が祖父の仕事の荷物を持って東京駅で待ち合わせをしたら、祖父が祖母を見つけられないままさっさと仕事先の熱海へ行ってしまったこと。祖母は慌てて荷物を持って熱海へ追いかけたという。
もうひとつ、にわかには信じられないくらい驚いたことには、祖父に急な出張の予定が出来て、祖母に電話を寄こして「鞄に着替えの用意をして駅まで持ってきてくれ」と頼んだときのこと。そのすぐ前に、祖父があんまり身内にけちなもので祖母とけんかになり、祖母は相当腹を立てていたそうだ。
しかし、夫の仕事に必要なものを渡さないわけにもいかないので、怒ったまま荷物を持って駅に行った帰りぎわ、祖父も妻に済まないと思ったらしい。
彼はスーパー出雲の2階から祖母に投げキッスを送ったというのだ!!
祖父がクラシック鑑賞や情緒ある映画を好むロマンチックな人だとは気付いたけれど、あんなに家族に厳しくて怒りっぽい人がそんなことをするとは…
さらにびっくりすることには、私が「そんなことする人だった???」と問いかけると、祖母は「おじいちゃんはねえ、うちにある青いドレスの女の人の絵に『好きだよ』って声をかけるのよ」
って!!!! 10数年ともに暮らしていたけど、昔気質の仕事人間としか思っていなかったなあ。 詩情あふれる純粋な青年だったのね… 今日会った人の妹さんがギリシャで起きた地震を予知してたり、世の中よくわからない ただ、ふと私は父が生まれる前から彼に会うことが決まっていたような気がするのだ。
by boushiseijin | 2011-06-10 17:40 | from tokio