gringo
「(私は)gringoじゃないよ」
彼はそう言った。欧米の人が嫌いなのかと訊けば、そんなことはないと答えたけれど、gringo(白人の蔑称)は嫌いなのだと思う。
"the hurricane"という映画を観ていてそんなことを思い出した。無実の罪で投獄されたボクサーの実話を基にした話。
彼にはいつも馬鹿にされていた。馬鹿にする相手は私しかいなかったのだと思う。
明るくて強くて健康的でセクシーな人に憧れた。その人も、甘くて幸せなのは人生の1・2割程度、お菓子の家に住んでいる人はいないと言っていた。知恵がいつも誰かを救うわけではないので、時々どうして学ぶのかわからなくなってくる。
彼がどうして笑っていられるのかよくわからなかった。お酒と映画のおかげかもしれない。それでも彼の笑顔や目がいつも羨ましかった。彼の目には私は見分けのつかない日本人の一人、あるいは多少エキゾチックに映っただろうか。
ごくまれに、人生には悲劇的なことと奇跡的な幸運が訪れる。できれば幸運の女神になりたかった。
by boushiseijin | 2013-12-16 18:33 | from tokio