アウレリア・マイタのこと about aurelia mayta
若い頃、アウレリア・マイタは美しかった。
若い頃誰もがするように、情熱的な恋をして、結婚して、山を下りて都心に行き、子どもを産み、数年間は耐えていたが、たいていのこの国の男たちがそうであるように、だらしのない夫にはいいかげん堪忍袋の緒が切れて、大喧嘩をして夫と別れ、子どもを母親や姉たちに預けて、夜は働きに出た。
おかげで元気に成長した息子は、父親と同じように女たちを泣かせ、そのうち街を出て世界中を転々とするようになった。
アウレリア・マイタも、前の夫よりましな男と再婚して、彼について街を出た。
自分のこと、息子のこと、アウレリア・マイタは毎日祈っていた。
やがて息子も二度目の結婚をして、アウレリア・マイタには孫ができた。
その頃アウレリア・マイタは50にもならないうちに病に侵されて、50を過ぎたらあっという間にこの世から去ってしまった。 二番目の夫の国では、アウレリア・マイタの故郷でするのと違い、アウレリア・マイタは灰となり岸壁で風に舞い散って行った。
私はとうとう、アウレリア・マイタに会うことはなかった。だから彼女が幸せだったのか、誰にもわからない。
by boushiseijin | 2013-12-21 01:55 | from tokio