【ゲームシナリオを書こう~裏側SP!~】#ゲームシナリオ let's write a game scenario!
お次は笹成さん。
ゲームシナリオ 大募集!
キャラ50体 お願い!
セリフ200個 ちょーだい!
世界観 下さい。
ならばそのキャラクターは、どんな場面で、何をしようとしているのか? どんな人物関係、どんな環境に置かれているのか? 徹底的に訊いてみる。
学園もの、戦隊ものなら リーダー、サブリーダー、力自慢、頭脳派、トリックスター・狂言回し、博士、助手、助っ人、はたまた謎の存在X…
何でもいいから、かっこいい、かわいい、俺が気に入るような面白いセリフ作ってよ。
だと?
そこは プロなので何でも書けるようにする
例えば、好きという言葉を一切使わないメロドラマ
「月が綺麗だね」 「お前を殺して俺も死ぬ」
(「好き」という単語を使わずに「好き」を表現するためのバリエーションを増やせ!)
野球の試合プロセスを表すのに、「開始!」なのか、「プレイボール!」なのか、「得点!」なのか「ホームイン!」なのか?
システム、コンテンツ先行で世界観は後付け? 結構。
格闘ゲームなら、なぜ戦うのか?
友達作り、願いを叶えるため、運試し…
音楽ゲームなら、なぜやるのか?
人捜し、就職活動、企業戦争?
とにかく面白くしたいなら、つまらないものは全部なくす。すると、必要な要素がわかる。だいたいにおいて、面白いってなんだ? 理屈じゃない、もっと感覚的なものじゃないのか?
ストーリーなんて要らない、なぜなら、物語はプレイヤーの体験にあるのだ。
必要なのは、プレイヤーが想像をふくらませる物語性である。
続いて、鈴木さんは、なぜゲームの企画をすることになったかに始まる。
某ファンシーグッズの会社でOLをして数年、ゲームブーム到来、とにかく新しいことがやってみたかったという鈴木さんは、友人らとゲーム作りを始めたそうだ。当時は「企画」担当という分担すらなく、プログラミングの基礎からご自分でやっていたというから驚き。
そして、ミステリーゲームの制作へ
ミステリーとゲームは相性がいい。なぜならそこには、ルール、謎、パズルがあるからだ。
◎キャラクターを作るには?
思い入れ、テーマ、モチーフ、素材が必要。
また、探偵役はプロフェッショナルでも、天才でも、ヒーローである必要もありません。相棒が一人である必要もありません。
なぜなら、主人公はプレイヤーとかけ離れてはならないからです。
◎主人公のプロフィールを作ってみよう!
どんな 過去、経歴、魅力的な欠陥、能力、謎、 事件とどのように関わりがあるのか
そして伸びしろと余白も重要。ここでも、プレイヤーが想像をふくらませられることが鍵となります。
『ラストウィンドウ』では、1979年のアメリカを舞台に元刑事の寡黙なセールスマンを主役に。この設定で、20代~30代の女性ユーザー獲得に成功します。
『アナザーコード』では、日米ハーフの少女が主人公。父と子の複雑な関係を描きます。海外展開に際し、何歳以下の少年・少女を一人で家に置いてきてはならないという、日本にはない州法を視野に入れねばならず、登場人物の年齢を替えたこともあったとか。まさに「アナザーコード」ですね!
最近では、TVドラマ『MOZU』の喫煙シーンまでも、放送コードギリギリ? と話題に。
最後に、鈴木さんにとって、ゲームの主役とは何か?
「愛すべき唯一無二の相棒」
「徹底的につきあう相手」
こういう気持ち、思い入れを持って、一生の覚悟で考え、つきあうものなのです!
トリは米光さん
ゲームシナリオを書きたいなら、まず物語構造を知るべし。
映画の感想をメモして、人に伝えなさい。インタビューやメイキング映像も観て、調べてみなさい。人に伝えるときは、ただ言うのではなく、面白く伝えなさい。
作品の構造をよりよく知り、楽しむには
◎映画やドラマの登場人物のキャラクターシートを作ってみよう!
◎連ドラの続きを考えてみよう!
EX.『半沢直樹』、『佐粧妙子』、『古畑任三郎』、『刑事コロンボ』、『LOST』。『刑事コロンボ』は冒頭に犯人が現れ、誰が犯人かわかっているのに、なぜ面白いのか? 先の読めない意外な展開。改めて観て、比較すると、シナリオの巧さがわかる。
◎小説の先を読むトレーニングをしてみよう
宮部みゆき『ステップファザー・ステップ』
乙一『暗い所で待ち合わせ』
恩田陸『夢違(ゆめたがえ)』
◎ハウツー本を読んでみる
例えば、上記の乙一さんが手本にした
『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』や
中島梓『小説道場』
野田昌宏『スペースオペラの書き方』
君塚良一『脚本通りにはいかない』
涼元悠一『ノベルゲームのシナリオ技法』
大塚英志『物語の体操』
◎TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム~ゲーム機やコンピュータを介せず、紙や鉛筆、サイコロ、人間同士の会話とルールブックに基づいたルールで行う対話型のRPG)のマスター(進行役)をやってみよう!
◎映画の別バージョンを3つ考えてみよう!
◎今ここで急に、自分に絶体絶命のピンチが訪れたら?と妄想してみる
◎タロットカードをやってみよう!
◎句会に参加してみよう!(米光さんが出る公開句会「東京マッハ!」の宣伝)
途中、米光さんが23年間(!)温めているという「フロイト」を描いたゲームの構想
についてもチラリと。『夢判断』であまりにも知られた精神分析家、ジークムント・フロイト。
彼の精神科医としての側面だけでなく、友を失ったエピソードや恋愛、自身のトラウマ体験といったパーソナルな面にもスポットを当てて人物を描いているようで、期待度大です。
映画のオーディオコメンタリー(出演者・スタッフによる解説トラック)を観よう
同じ作品を3回観よう
①ただ作品を楽しむ、楽しまされている
②伏線に気づく
③メモを取り、分析しながら観る
◎カメラの位置、アングルを換えて、別の視点から観る
◎色であったり、セリフの語尾であったり、その都度一つのことに注目して観る。
◎分析力を養うために、今日一日を思い出し、分析してみる。
なるほど、以前読んだ『恋人たちの予感』、『ユー・ガット・メール』の脚本家ノーラ・エフロンのエッセイにも、重要な事柄、伏線になることは作品中に3回は出てくると書いてありました。観客、あるいはプレイヤーはそうした伏線を通して作品を理解しますから、分析して初めて、どのような演出技法によって自分が楽しまされていたか気づきます。作り手にとって、演出ポイント、演出技法を分析し、知ることはとても重要なのです。
以上盛りだくさんのトークイベントでしたが、青弓社『ゲームシナリオを書こう!』もちゃんと買って読んでねということで、こちらで語っていないゲーム作品の裏話諸々や、エクセルベース・テキストエディタベースのシナリオサンプルなんていうのも載っていて、面白いだけじゃなく実用的なんですよ!
(文責:村山 悠)
by boushiseijin | 2014-06-13 11:36