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『止まりだしたら走らない』の品田遊は見分けにくい

 品田遊『止まりだしたら走らない』出版記念トークイベントに行ってきた。登壇者は、著者の品田遊、挿画・挿絵のerror403、アートディレクションの森敬太と、なぜか司会進行はゲームデザイナーの米光一成。

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 品田がこの本を書くことになったきっかけは、ダ・ヴィンチ・恐山名義でやっているtwitterが、クリエイターの代理業務を行う会社、CORKの佐渡島庸平の目に留まったこと。

 佐渡島から2年ほど前に、「お前面白いから小説書けるよ、書いてみろよ」、といった感じで小説の話をもらったのだという。以来2年間、悪戦苦闘して短編を書き上げた。

 かたや、高校生の頃からtwitterで人気があったerror403。その人気から、漫画描いてみればいいんじゃない? と言われ、漫画を描き始め今に至るそうだ。品田の小説進行の話を受けた森が、この小説なら、error403の絵がいい! と希望したところから、この3人チームが出来上がった。

 さらさらと読めるのではなく、時々読み手を止めるようにしたいということで森が考えたのが、短編によって文字の大きさや色を変えるというアイディア。ただ、この方法だと青い字のぶんと、黒い字のぶんで文字の量の調整が難しい。本のページに使う紙は、一枚ずつ印刷するのではなく、大きな紙に複数の版面を刷って4つに分割するので、青字、黒字がそれぞれ同じ紙に印刷できるようにしなければならないのだ。

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 ここで大きな役割を果たすのがerror403の挿絵。どんな余白も、森がerror403に「何ページぶん挿絵描けるよ」と言えば、「できます!」と言ってerror403がこなしてくれるのだ。そのやり取りの中で、森がerror403のラフスケッチに「天才だね!」とコメントをくれるあたりの信頼関係が微笑ましい。

 一番好きなerror403の挿絵
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 イチゴの粒々が気持ち悪い、漫画のたんこぶが気持ち悪い、今日何を食べるべきか悩む……
 品田の書く人物は、一様にどうでもいいことばかり気にして、どうでもいいような話をしている。

 そんな人物を書く品田は、細身でスーツを着て、メガネをかけて、なぜか著書の表紙柄のマスク(仮面)をつけていた。正確には、マスクをつけてメガネをかけていた。

 私はこういう太っていなくて、オーソドックスな服装でメガネをかけた男性が一番見分けにくい。めちゃくちゃ濃い顔をしているならともかく、マスクのすきまから見える感じも明らかに見分けにくい顔だ。常日ごろから、どうして男の人は見分けにくい恰好をしているのだろうと思っている。

 品田がマスクをつけていたのは、極度のあがり症で、マスクをつけないとまともに話せないからだそうだ。著書の表紙柄のマスクをつけているとはいえ、こっちはメガネをかけたスーツ姿の男性の見分けがつかないから、今度ぜひ小説でそのあたりの分類に突っ込んでほしい。

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by boushiseijin | 2015-07-27 01:52 | from tokio